(1883年~1964年)
1956年、重要無形文化財蒟醤保持者に認定。香川郡宮脇村(現・高松市亀阜町)生まれ。
香川漆芸の祖と言われる玉楮象谷の作品研究を通じて、点の大小、粗密によって濃淡を付け、奥行きと立体感を表現する「点彫り蒟醤」の技法を創案。美術工芸の研究会を結成するなどし、香川漆芸の水準向上に尽力したほか、香川県立工芸学校、岡山大学、香川県漆芸研究所で後進の指導にあたった。1961年紫綬褒章を受章。
(1898年~1997年)
1955年、重要無形文化財彫漆保持者に認定。高松市南亀井町生まれ。
石井磬堂の内弟子となり木彫を学び、1914年頃に独立して玉楮象谷の漆芸作品を独学で研究。1932年に第13回帝展に初入選後、入選を繰り返し、1942年の第5回新文展で「彫漆月之花手箱」が特選を受賞。朱、黒、黄、緑、褐色の5色に限られていた漆に、新素材のレーキ顔料を取り入れ、難しい中間色や鮮明な色漆を駆使した作品を制作。色彩の表現領域を格段に広げた。
(1926年~)
1985年、重要無形文化財蒟醤保持者に認定。高松市西浜新町生まれ。
父・如真に師事して漆芸技術を学ぶ。ベニヤ板を貼り重ね成形した素地「積層」、角剣による点彫りを応用した「往復彫り」等、独自の技法を創案し蒟醤の表現領域を広げた。
1968年から香川県漆芸研究所講師として後進の指導にも尽力している。
1986年紫綬褒章、1998年勲四等旭日小綬章を受章。
(1931年~2019年)
1994年、重要無形文化財蒟醤保持者に認定。岡山県岡山市生まれ。
岡山大学教授であった磯井如真の内弟子となって漆芸を学ぶ。
木型に竹網代を密着させて編み込み、漆で固めた後、木型を抜き取る方法により形成する「籃胎素地」や、縦、横、斜めに線彫りし、色漆を埋め込み、研ぎ出すことによって微細かつ複雑な色面構成を可能にする「布目彫り蒟醤」を創案した。自ら編み出した手法と、伝統的な蒟醤による線彫り法を組み合わせることにより、蒟醤の絵画的な表現領域を広げた。
(1951年~)
2013年、重要無形文化財蒟醤保持者に認定。高松市生まれ。
香川県立高松工芸高校卒業後、磯井正美に師事。1976年から蒔絵の人間国宝・田口義国のもとで学ぶ。1989年、第36回日本伝統工芸展で「蒟醤色紙箱 遥か」が朝日新聞社賞を受賞。金刀比羅宮の「桜樹木地蒔絵」の復元監修を行う。水紋、月、星、虹など身近な自然をモチーフにした、新鮮な意匠と濃密な構成が魅力。蒟醤と蒔絵を併用した作品も多い。
(1953年~)
2020年、重要無形文化財蒟醤保持者に認定。高松市生まれ。
香川県立高松工芸高校及び香川県漆芸研究所で伝統的な漆芸技法を習得するとともに、太田儔に師事して籃胎蒟醤の技法を学んだ。竹ひごの網目を表現として生かしながら、籃胎と蒟醤とを調和させた品格のある作品を制作・発表して、日本伝統工芸展等で受賞を重ね、紫綬褒章を受章するなど、高い評価を得ている。また、後進の指導・育成にも尽力している。